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Soil in the water

FabCafe Osakaの設計を進めながら、大阪の土地と淀川について考えていた。出来上がった都市としてではなく、太古から流動し続けるものの一地点としての大阪。

大阪平野は、淀川が運んでくる土の堆積と侵食が繰り返されることで形づくられ、人が暮らし始めて以降も、氾濫による水害や土砂の堆積に悩まされる時代が続いてきた。そのため、淀川ではたびたび大規模な改良が施され、明治時代には、治水対策として川幅の拡張や大型船が安全に航行できる深さの確保、流れを穏やかに保つための整備が進められ、現在の淀川の姿が形づくられている。

その過程で生まれた淀川両岸の無数のワンド(川につながる小さな池や入江)には、豊かな風景と生態系が育まれ、大阪でも特に魅力的な場所のひとつになっている。

城北ワンド 2024年5月
柴島浄水場 2024年12月

浄水場の発生土

こうした風景を育んできた堆積と侵食をめぐる自然と人の関わりは、土地の形成にとどまらず、大阪という都市の文化の土壌になっているのかもしれない。そんなことを考えながら、淀川の土を仕上材として使うことはできないかと思い、調べ初めた。すぐに川底から採取される砂の入手は可能であることが分かったが、粒がかなり粗く、仕上材としては扱いが難しそうだった。

そんな時、大阪市の浄水場が、淀川の水を浄化する過程で発生する土を販売していることを知る。浄水場では、汲み上げた淀川の水から土の粒子を沈殿させ、それを回収して乾燥させるという工程があり、そこで得られたスラッジ(浄水発生土)が販売されていた。(1tあたり100円※土のう袋は持参のこと) 施設ごとに乾燥方法が異なるため、入手できる土の状態にも違いがあることも分かってきた。

自然に堆積した土ではなく、現代の人間の暮らしに必要な過程の中から現れた土であるということにも意味を感じている。