
Broadleaf forest in Hida
FabCafe Osakaで使用するマテリアルのひとつとして飛騨の広葉樹を活用できないだろうかということになり、店舗全体のコンセプトである「L’Informe(アンフォルム)」とどういう繋がりを持てるか分からないまま(そもそも「アンフォルム」をまだ理解しきれないまま)だったが、まずは行ってみましょうということで、「飛騨の森でクマは踊る(通称:ヒダクマ)」の皆さんに、森を案内してもらった。
初めて入った広葉樹の森は、とらえどころがなかった。斜面に生育しているので、根本近くでぐにゃりと曲がり、太陽を求めて伸びている。気がつくのはそれくらいのことで、他に何をみればよいかも分からなかった。
定まらない視点を察したのか、ヒダクマの岩岡さんが教えてくれた。広葉樹林は樹種の多様性が顕著で、それぞれが異なる生育条件や生存戦略を持っているのだそうだ。芽を出してすぐに成長する木、初期の成長は遅いがゆっくり成長を続けて大きくなる木。光を強く求めるもの、影が必要なもの。いろんな性質の木々が関係し合って、樹種ごとに明確な境界を持つことなく、常に移ろい続けているという。
その状態は確かに「L’Informe(アンフォルム)」と言えるかもしれない。木々を単なるマテリアルとして活用するだけでなく、森が内包するこうした曖昧さそのものを空間として実現できたよいのになと思った。



材木として使用可能な広葉樹を伐採・搬出する際には、その周囲にある成長途中の細い木々も、作業の都合上、併せて伐らなければならないことも教わった。
山の斜面で成長した太い曲木の力強さも素晴らしいが、「小径木」と呼ばれて通常チップへと加工される細い木々は、広葉樹の森が繰り返す「移ろい」の象徴のように感じられ、ひときわ魅力的に思えた。



